



現在は創業した場所を証す「亀屋町内絵図」や、酒造業の変遷が記された「酒造株之事」などの古文書の他、当時、記念館の向かいにあった白木屋呉服店(現在の東急デパートの前身)の紋入り瓦などが納められている文庫蔵となっています。

大きな桃の木の下にあることから名付けられた「桃の井」は、創業以来酒造りに使われてきた名水で、今でも1年を通して温水16度、毎時3トンの豊かな水量で湧き出ています。数々の端麗な名酒を生み出してきた桃の井は、くせがなく軟らかな口当たりが特徴で、この「命の水」無くして町家麦酒の誕生はありえません。
座敷の障子を通して一幅の絵画となるよう作られた鶴亀の庭は、庭づくりの決まりをきちんと守りきりながら配された、鞍馬石の石灯籠や飛び石が、京の粋と美意識を感じさせます。文庫蔵へと続く石畳や、「桃の井」から湧き出る水の音が、都心のオアシスのような空間を演出しています。

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![]() 遠方から訪れた客人を迎えた、鶴亀の庭をのぞむ書院造りの奥座敷。ケヤキ(棚板)、縞柿(小柱)、赤松(床柱)、霧島杉(天井)など、随所に施された多種多様な素材が、絶妙のバランスで保たれています。 |
![]() 客人の応対や商談でいつも活気に満ちていた帳場。切子格子は外の光や風をやさしく引き込むだけでなく、外からの視線を遮りながら、中から気配が穏やかに感じられる優れた役割をもっていました。 |
![]() 派手さを抑えながらも、高度な技術と中京の商家の美意識が凝縮された本座敷。床の間を背にして下手には五畳ほどの「鞘の間」といわれる部屋があり、大切な客人をもてなす際、座を楽しませる舞などが行える舞台として設えられていました。 |
![]() 住み込みの人々が寝起きしていた部屋。町家の多くは二階が低く、現在のロフトのような造りになっていました。表構えに設えられた窓は、土で塗り込められており、それが虫籠のように見えることから称されました。 |
